大学入試 基礎講座 『現代文・小論文の基礎』 其の七
「接続関係」 〈順接と逆接〉
ながらくお休みしてスイマセン。プチ入院したりしてサボってしまいました。
残暑がきびしいですが、みなさま、くれぐれも体調にはお気をつけ下さいませ。
では、再開。現代文、小論文の論理(ロジック)を作り出していくのは「接続関係」であると述べてきました。
そして「逆接」「順接(原因・理由)」まで展開してきました。
ムムム、それって、古文の接続助詞でやったのと同じでは…、そう、基本は現代文だろうが、古文だろうが、漢文だろうが、接続関係の基本は変わりません。
古文の接続助詞をしっかりおさえるのって、実は古文以上に現代文で役に立ったりして。
だから何度も言ってきたとおり、現代文、古文、漢文は別々のものとしてやるより、一緒にやったほうが理解が早いのです。
『古文の基礎』の「主な接続助詞」でやったのと同じ例文でやってみましょうか。
受験で漢文がある人は漢文も一緒におさえてしまいましょう(読みづらくてスミマセンが…)。
まずは、「順接」「逆接」「仮定」「確定」の定義をおさえましょう。
・「順接」の「順」は訓読みすれば「順(したが)う」、前の内容に「したがえ」ば、自然とのちの内容が導き出されるので「順接」です。
・「逆接」は、前の内容と後の内容があいいれない、文字通り「逆」の関係になります。
・「仮定」は、動作がまだ動作はおこなわれていない、動作は「仮定」された状態にあります。
・「確定」は、動作はもうおこなわれている、動作は「確定」された状態にあります。
順接仮定条件(もし~ならば、)
【古文】「未然形+ば」=もし~ならば、
【漢文】「若(も)シ・如(も)シ・苟(いやし)クモ~未然形+バ・已然形+バ、~」
※漢文では少々文法がルーズになって、「未然形・已然形+バ」どちらでも仮定条件を表現します。
例)もし早く行ったならば、彼に会えるよ。
※わざわざ早く行くのだから、会えて当然(順接)、「行く」動作はまだおこなわれていません(仮定)。
順接確定条件(~ので、)(接続詞…「だから」「したがって」)
【古文】「已然形+ば」=ので、
【漢文】「已然形+バ、則(すなは)チ~」
※いわゆる「レバ則」といわれるお約束問題です。
仮定条件、確定条件どちらも受けますが、特にも確定条件(原因・理由)の表現としておさえておきたいですね。
ちなみに、漢文は何でもサ変化して読む傾向があります。
サ変動詞「○ス」、已然形「○スレ」+「バ」+「則チ~」とよく表現されるので、「レバ則」といわれています。虫食い問題の王様。
例)早く行ったので、彼に会えたよ。
※わざわざ早く行くのだから、会えて当然(順接)、「行く」動作はもうおこなわれています(確定)。
逆接仮定条件(たとえ~としても)
【古文】「終止形(形容詞は連用形)+とも」=たとえ~としても、
【漢文】「縦(たと)ヒ・縦令(たと)ヒ・仮令(たと)ヒ~トモ、~」
例)たとえ早く行ったとしても、彼には会えないよ。
※わざわざ早く行く、それなのに会えないのはおかしい、あいいれない関係(逆接)、「行く」動作はまだおこなわれていません(仮定)。
逆接確定条件(~けれど、)(接続詞…「だが」「しかし」)
【古文】「已然形+ど・ども」=~けれど、
【漢文】「~ドモ、而(置き字)~」
※「而」は接続詞で読んでもよし、接続助詞で送って置き字にしてもよし、順接(単純接続)、逆接、両用法があります。
・順接(単純接続)
接続詞「~、而(しかう)シテ~」=「andと同じ」
接続助詞「~テ而(置き字、読まない)~」
・逆接
接続詞「~、而(しか)レドモ~」
接続助詞「~ドモ而(置き字、読まない)~」
例)早く行ったけれど、彼には会えなかったよ。
※わざわざ早く行く、それなのに会えないのはおかしい、あいいれない関係(逆接)、「行く」動作はもうおこなわれています(確定)。
くどいようですが、「~としても、」は逆接ですよ。
現代文・小論文の論理(ロジック)をおさえる上で、上記の条件句はおさえておきたいですね。
たとえば早稲田の現代文の問題。本文中ではただ「Aである。Bである。」といっているだけなのに、設問の指示が「本文の内容と合致するものを選べ。」で、選択肢が「AだからBである。」と勝手に「原因・理由/結果」に置き換えたりするのは、よくやるひっかけです。
ところで、接続関係は論理(ロジック)の基本だ!と展開しているわけですが、受験をはなれてちょっと考えてみましょう。
「接続関係」って、論理の基本どころか、実は私たちの「生き方」そのものだったりしませんか?
「みんながやっている。だから、ワタシもやる。」
「みんながやっている。しかし、ボクはやらない。」
つまり、私たちをとりまく「世界」に対してどのように「接続」していくかで、それぞれの生き方は大きく変わってしまいますね。
たかが「接続」といってあなどれません。