大学入試 基礎講座 『現代文・小論文の基礎』 其の十二

「接続関係」 〈並列〉

小論文を書く、あるいは慶応大学などの要約系の問題、国立大学二次試験の記述系の問題、これらすべてに共通していえるポイントは「接続関係」を明示することです。
だから『現代文・小論文の基礎』として展開しているわけです。
受験生に要約文や記述問題を書かせると、まず、本文中のネタをチェックしていきます…、それはいい、ところが記述する際に、それらをチョキチョキ切り出して、ペタペタ貼り付ける、いわゆる「切り貼り」型の解答文を書いてしまう。
心当たりはないでしょうか?

設問で求めている内容はおさえている、ネタは確かに正しい、でも、解答文全体が何を言っているのか意味不明、結果的には、残念ながら零点の解答になってしまいます。
実にもったいないですね。

ここで抜け落ちているのは上記の「接続関係」の視点です。
採点者の立場に立てば容易にわかることなのですが、正しい接続関係を用いているものは、ほぼ間違いなく書けています。というか、接続をたどるだけで書いてある内容がほぼわかります。
じっくり読まなくても、パッとみて「マル」とスムーズに採点が進みます。
反対に、じっくり読んでしまう解答文というのは、何かしら減点対象が含まれているということを意味します。
「接続関係の明示」、これを肝に銘じてください。

今回は「並列関係」について考えてみましょう。

「Aである。Bである。」とただ並べると、「A」の内容と「B」の内容がどのような関係なのか、読者が自分で位置づけしなくてはなりません。でも「Aである。またBである。」と「また」を入れてつなげれば、前後の「A」と「B」は並列関係、同じ資格をもっているのだということがイッパツでわかります。
読者にとって文章表現がわかりよい、ということは、読者はあなたの意見を読み取ることに集中できます。
たかだか「並列」といってあなどれません。

Aである。またBである。…ただの並列、論は展開していない。

ふだん小難しい現代文を読んでいると、小論文は小難しく書けば立派な論になるのだ、と受験生は思いがちですが、それは奇跡的な誤解です。
小論文は中身で勝負、文章表現はわかりやすいほどよい、ということを肝に銘じましょう。

【漢文】

漢文の「また」も見ておきましょうか。「亦」「復」「又」と、どれも「また」と読みますが、基本的な意味が異なります。

1.亦=やはり、また主語が変わって、述語は同じ。
主語(A1)+述語(B1)。主語(A2) モ亦(ま)タ 述語(B1)
例)われ、めし食ふ。彼モ亦タめし食ふ。

2.復=ふたたび、また同じ主語、述語の反復。
主語(A1)+述語(B1)。主語(A1) 復(ま)タ 述語(B1)
例)われ、めし食ふ。われ、復タめし食ふ。

3.又=さらに、また主語が同じで、述語が変わる。
主語(A1)+述語(B1)。主語(A1) 又(また) 述語(B2)
例)われ、めし食ふ。われ、おやつ食ふ。

1.は「モマタ」、2.は「マタマタ」、3.は「サラマタ」と覚えるとよいでしょう。
全ておさえておくとけっこう読解に使えるものですが、なんと言ってもきかれるのは「モマタ」ですから、1.だけでよいのでおさえましょう。
虫食い問題で問われます。「モ( )」で、選択肢に「亦」「復」「又」が入っている、というものです。
直前に「モ」があったら「亦」ですよ!