大学入試 基礎講座 『現代文・小論文の基礎』 其の十三

「接続関係」 〈添加〉

ボクシングで「1(左ストレート)―2(右ストレート)」で攻撃するとしましょう。
ボクシングのキホンの「キ」ですね。
その時、「ワン(速く浅く)―ツー(速く浅く)」―「ワン(速く浅く)―ツー(速く浅く)」と打って三回目に「ワン(速く浅く)―ツー(強く深く)」なんて攻撃を仕掛けると、最後の「キメ」の右ストレートが決まったりします。

で、何を言いたいかというと、ボクシングがリズムの勝負であるように、文章も最後はリズムの勝負だということです。
ちょっと高等テクニックになりますが…。

「Aだし、Bだし、Cだし、Dだし…」

はダメだって言いましたね。
ところが、ほとんどの受験生が字数稼ぎのためにやってしまいます。
「自分の意見を主張すること」が主目的であるはずなのに、「字数をうめること」自体が目的になってしまっている、典型的な優先順位の誤解です。

そこで、文章の中に「強―弱」を入れてリズムをつくっていきましょう。
「添加」の表現はそのテクニックの一つです。

「Aだけではなく、その上さらにBまでもが~。」

ホラ、「A―B」と単純接続でつなげると平板になる文章も、添加「さらに」を入れるだけで「A(弱)―B(強)」のリズムができた。
上記の「1―2」打ちと似ているでしょ?
当然「B(強)」はフィニッシュパンチ、しっかり「キメ」なくてはいけません。

A~。さらにB~。 …A()―B(

「A」は「B」を強調するための「前フリ」、「B」は強調、自分の意見を明示します。

以前、『古文の基礎』で展開していますが、もう一度「古文」「漢文」も確認しておきましょう。

大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の七十一

【古文】

添加の構文…A~、Bさへ~ = (Aが~、Bまでも~)

※「さへ」は添加で「までも」と訳すこと。「さえ・までも」と覚えましょう。

前の内容「A」に対して、「Aばかりでなく、その上さらにB~」と、「B」の内容を付け加える表現です。何に何を加えているのか、「A」と「B」の内容を確認するのがミソです。

【漢文】

累加型…

不唯A、B = 唯(た)ダニノミナラズ、B~)

不独A、B = 独リノミナラズ、B~)

(Aだけでなく、その上さらにまでもが~)

※限定型「唯A」(唯ダAノミ~)、「独A」(独リAノミ~)に否定詞「不」「非」が付いたら累加型。限定型と累加型とをセットにしておさえましょう。
「Aだけ」なら限定型、「A」に「さらにB」を加えると累加型です。

以上、「ただAだけでなく、その上さらにBまでもが~」と、現代文(小論文)、古文、漢文ともに「添加」する機能は同じですね。
この通底する「機能」そのものをおさえてしまえば、古文の添加の構文、漢文の累加型、ともに理解は早いのです。

「A=B」、前後は同類項ですが、「B」の方が強い、「加える表現」でありながら「強調する表現」であることは、現代文を読解する上でも知っていてソンはありません。