大学入試直前講座 『現代文のツボ』 其の二

「早稲田大学のひっかけパターン②」 〈因果関係〉

満点をめざすな!と前回のべました。
とはいえ、1点でも多く点数を稼ぎたいのが人情というもの、それは重々わかっているのですが、あれもこれも手に入らないのが現実です。
ホラ、「千円札のつかみ取り」のようなものをイメージすればよいのではないでしょうか。
ワシッとたくさんの金を手に入れようとすると手が抜けない、結局何も手に入らなかったりして。
そこそこの金をつかんだ人はすんなり手が抜けて確実に金をゲットできます。

大学受験生、特にも国語の受験生は、満点をめざすのではなく、ボーダーラインをめざすべきです。
赤本などにだいたい目安が書いてあります。ボーダー65%なら、35%は捨ててもよいことになります。
さらにいうなら、35%を捨てないと合格点はとれないという言い方もできます。
それでも時間が余った、だったら70%、さらに75%をめざせばよいのです。
優先順位第一位は「ボーダー突破」です。そのためにはどうしても問題を捨てていく感覚が必要です。

「肉を切らせて骨を切る」

お侍の果し合いみたいですが、捨てるべきは捨て、取るべきは取る、

その「やり・とり」の感覚が大切です。
まずいのは、捨てるべきを捨てられず、取るべきところで取れないこと、おおしくじりですね。
そのためにも過去問をしっかりやっておく必要があるのです。
自分の「やり・とり」のリズムを作って本番にのぞんでください。

で、早稲田大学の現代文について述べていきましょう。
ポイントは現代文五者択一の選択肢問題を二者択一まで絞り込むことです(まれに、六者択二もありますが)。
二者択一まで絞り込むと、それまでボンヤリしていた選択肢の違いがクッキリ浮かび上がってきます。
正確にいうなら「差異」がはっきりします。五者択一の段階では、「逃げたか、逃げなかったか」という問題点でしか選択肢を洗えなかったのに、二者択一まで絞り込んでくると、「五十歩逃げたか、百歩逃げたか」という問題点が浮かび上がってきます。
「二」という数字は比較対照が楽チンになる(優勝決定戦一回ですむでしょ?)、それが「三」だと比較がはるかに難しくなります(相撲なら総当たり戦になって、なかなか優勝が決まらない)。
とにかく、二者択一まで絞り込む、それでもわからない?…だったら、適当に選んで「先へ!」でしたね。
時間があったら後でツメればよいのです。
「先へ」「全体へ」を常に優先させましょう。

で、二者択一まできた、そこから正解までツメるために、「ひっかけパターン」を見ていきましょう。

「因果関係(原因と結果の関係)」に注意!

 原因理由

  ↓
 「~ので」「~から」「~よって」「~ために」「だから」「したがって」
  ↓
 結果

 結果

  ↓
 「なぜなら」「その背景には」

  ↓
 原因理由

のような「因果関係」にはくれぐれも注意しましょう。

・設問の指示が傍線部の「いいかえ」を求めているのに、選択肢が傍線部の「原因理由」を説明している、あるいはその逆、設問の指示が傍線部の「原因理由」を求めているのに、選択肢が単純な「いいかえ」をしている。

特に本文をそのまま抜き出されると受験生はパクッと食いついてしまいます。
早稲田大学を受験する人は、くれぐれも設問の指示をしっかり絞り込んでください。

・正誤問題、説明問題などの選択肢において、デタラメな「因果関係」に置く。
本文では「Aである。Bである」と述べているだけなのに、選択肢でかってに「AだからBである」と因果関係にしている。

特に「A」「B」が本文そのままだったりすると、受験生はまんまとひっかかります。

以上、本文・設問・選択肢に「因果関係」があったらくれぐれも注意が必要です。
自分なりに「因果マーク」を作っておいて、いちいちチェックしておくのもテですね。