大学入試直前講座 『現代文のツボ』 其の一

「早稲田大学のひっかけパターン①」 〈時間配分〉

 いよいよ直前、現代文の最後のツメとして、難解だけれど良問ぞろい、早稲田大学の現代文について述べていきます。

ショボ系の現代文は、選択肢の○と×とがはっきりしています。
それに対して早稲田大学の現代文は総じて×の選択肢の作り方が丁寧ですね。
特にもひっかけの選択肢が「いかにも」というものを作ってきます。
だからついつい時間を取られてしまいます。
今回は、そのひっかけパターンをたどっていきます。

まず、最初に確認しておきたいのは「国語で満点をめざさない」ということです。
センター試験ならともかく、早稲田の国語で満点などありえません。
おそらく、作題しているご本人でさえ、規定の時間内で満点を取ることは不可能でしょう。
それなのに、まるで満点を取るような解き方をしている人がいます。
「一つ、じっくり…二つ、じっくり…」、こんな解き方をしていたらいくら時間があっても足りません。
結果、タイムアウト、古文をまるまる落とした、なんてことになります。
英語でみて、読解問題というのは、読まないことには始まりません。
残り時間あと3分、日本史や世界史ならまだ稼げる点数があるかもしれません。
でも国語はほとんど稼ぐ点はありません。
漢字の問題、「に」の識別といった文法問題ぐらいでしょうか。
古文でみて現代文でみて、しっかり点数にしようと思ったら最低でも15分、できれば20分はほしいところです。
具体的戦略としては、もちろんケースバイケースですが、「古文は時間かけずに点数稼ぐ、現代文にしっかり時間をそそぐ」というのがベストです。

立教大学の問題などは、最初の解説、最後の注が詳しくついています。
ところが、早稲田大学の問題は現代文も古文もほとんど解説、注なし、だから読まないことには全く文脈がわかりません。
とにかく読解、設問をクリアしていけば本文の文脈が見えてくる、といった作りになっていることが多いですね。

まずは本文をしっかり読解する。

ただし、本文が難解だからといって、本文にかじりついてはいけません。
本文が難解なときほど設問の選択肢が楽チンだったりするからです(この傾向は上智大学に顕著です)。

早稲田大学の国語受験のツボは「部分にこだわるな、常に全体を見渡せ」です。

部分→全体

本文がわからない。

設問へ。設問がわからない。

先の問へ。

最終問へ。

早稲田大学の国語の問題はけっこうイモヅル式になっていますから、「問五を解くと問三が見える」「最終問を解くと文脈が一気に見える」といったことがよくあります。

早稲田大学は時に、奇跡の合格!といった現象がおこりますが、おそらくその人はこのイモヅルを引っ張り出した人ではないでしょうか。

特にも、最終問題が本文全体の要約問題で、×をつける問題だったら、しかもその×肢がハッキリしていたら、残りの選択肢は全て本文の解説をしていることになります。
本文読んでもわからない、設問解いてもわからない、最終問解いたら一気に見えた、などということも起こりえます。

このようなケースで問一、二あたりでイジイジつっかかっていたらもうアウトでしょ?
「部分にしがみつかない、常に全体へ」はさらに教科を越えていきます。

現代文(古文)で点差が開かない。→古文(現代文)で点差をひろげる。国語で点差が開かない。
→他教科で点差をひろげる。

もう一度確認しておきましょう。
国語で満点などいらない、他の受験生と一点でも多く点差をひろげればいいのです。
その結果が合格ということなのです。