大学入試 基礎講座 『現代文・小論文の基礎』 其の十五

「接続関係」 〈例示〉

自分の意見内容を具体的事例に置き換えてやると、とてもわかりやすくなります。それが例示です。
また、具体的事実に即した意見内容なら、それだけ説得力も増します。

A(自分の意見)。例えば、B(具体的事例)。

「A=B」、前後はイコール関係、同類項です。
具体例は「時間軸」「空間軸」から探してきます。

「時間軸」とは「通時的」といわれるもの、わかりやすく言えば「歴史」です。
日本史選択の人は「日本史」から、世界史選択の人は「世界史」から、はまった具体例をひっぱってきましょう。

「バブル経済崩壊の背後には弛緩しきった思い上がりがあった。例えば、おごれる平家が~」

「美しい国づくり、といった国民の生活を無視した、理念ばかりが先行する政策が実を結ぶとは考えられない。例えば、中国の文化大革命において~」

なんて感じでしょうか。
その点、歴史が得意な人はかなり有利ですから、具体例に使わない手はありません。

「空間軸」とは「共時的」といわれるもの、同じ空間って、時間は共通して流れていますね。
わかりやすく言えば「ニュース」です。
同時代の、誰もが知っている事件を引き合いに出します。

「思いやりとは、相手の立場を中心にして考えるべきものであり、自分の立場を中心にして考え、相手に押し付けるべきものではない。例えば、自由と民主主義を与えてやる、といった、アメリカの自国中心の思いやりは、結局、新たな恨みを生み、次なるテロの温床を作り出してしまった。」

なんて具合でしょうか。
だから、入試で小論文がある人は普段からニュースにはアンテナをはっておく必要があります。

大学受験レベルの小論文なら「はまった具体例」をあげるだけで、かなりのレベルまでいけるはずです。
上位の1/10に入るのは、それだけでは難しいでしょうが、少なくとも下位の3/10には入らずにすむのではないでしょうか。

と、現代文の虫食い問題でよく出されますね。
空欄の下に具体的事例がきていたら、「例えば」が入ります。