大学入試 基礎講座 『現代文・小論文の基礎』 其の三

「接続関係」 〈逆接〉

「論」の中核をなすのが、この「逆接関係」です。

「意見文」とは、あたりまえとされていること、自明性に「ツッコミ」を入れていく作業だ、と以前述べました。

漫才で、ボケをかますと、相方は「なに言うとんねん!」、で、肩をポンと…、客がウケル。「逆接」とは、まさしくそのツッコミ、「肩をポン」なんですね。
漫才だって「論(すじみち)」をともなって、面白いことを「述」べる作業、「論述」しているわけです。ツッコミがないことには始まらないでしょ?

現代文においては、いかに「逆接」を正確に読み取っていくか、小論文においては、いかに「逆接」して自分の意見を展開していけるか、ここが勝負どころとなります。

A(批判対象)

逆接「しかし」「だが」「けれども」「~ものの」「~のに」「~が」

B(自分の意見)

論述するなら、Aで批判対象をしっかり分析し、Bで自分の意見を明確に打ち出すことが大切です。
現代文の読解なら、「逆接」後の筆者の意見をいかに的確に読み取るかが大切です。

いずれ、「逆接」というのは、B(逆接した後)の内容を強める、一種の強調表現です。
だから、現代文読解の際に、段落アタマの逆接には注意しなければなりません。
筆者の主張がきていることが多いからです。

また、AとBはだいたい対立関係になります。

1.A「客観的」←逆接→ B「    」
2.A「特殊」 ← 〃 → B「    」
3.A「多義的」← 〃  → B「    」
4.A「混沌」 ← 〃 → B「    」

さて、空欄には何が入るでしょう?って、よく虫食い問題になるところです。どれも評論頻出語ですよ。
答は、

1.「主観」、2.「普遍」、3.「一義的」、4.「秩序」、下にいくほど難しい。1.2.は受験生なら「常識!」と言ってほしいところです。
3.4.ぐらいになると早稲田レベルの評論です。
実際、よく出題されているところです。

このように、逆接をはさんで虫食い問題にしてもいいし、対義語をはさんで「逆接」を虫食い問題にしてもいいですね。
国立大学の記述などだったら、逆接前後を記述問題にしたいところです。

「逆接関係」をもった重要語を見ておきましょうか。

矛盾

…つじつまが合わないこと。あいいれないこと。

皮肉(アイロニー)

…予想に反した結果になること。

逆説(パラドクス)

…あいいれない関係でありながら、それが一つの現実となっていること。

「矛盾」と「逆説」が似ていますが、前者はただ「あいいれない」という関係性を言っているのに対し、後者は「矛盾しながらも、一つの現実になっている」と、その現実の方に重点が置かれています。

いずれ、どれも説明問題で頻出する語です。
特にも、本文中に「逆説(パラドクス)」とあったら、ほぼ間違いなく設問になります。
虫食い問題の選択肢の中に「逆説」とあったら、かなり正解クサイですね。
記述で問われた場合、書き方は「A、しかしB」と逆接でまとめるか(ヤヤコシイ)、一方ではA、他方でB」と一方、他方でまとめるか、「カタ」に注意してコンパクトにまとめましょう。