大学入試直前講座 『現代文のツボ』 其の九

「早稲田大学 評論用語の基礎知識②」 〈人類学・民俗学〉

早稲田大学の現代文が好むネタですね。
「中心」の対義語は「周縁(境界)」・「内部」の対義語は「外部」、早稲田大学の国語を受験するならおさえておきたい用語です。

空間でも、我々の意識でも、任意の一点を「中心」とすると、中心にまつわる「内部」と、中心から外れた「外部」がくくりだされていきます。
そして「内部」と「外部」の間には必ず「境界領域」と呼ばれる部分が発生します。

周縁・境界…中心に対する外縁部、周辺。(⇔中心)

両義性…一つのことが二つ(=両)の意味(=義)をもつ性質。


多義…一つのことが多くの意味をもつこと。


一義…一つのことが一つの意味しかもたないこと。

 どれもこれも、早稲田大学が過去に虫食い問題で出しているものです。

例えば、クラスの中でA君が「自分がクラスのリーダーだ」と宣言します。
それにつきしたがう仲間もいる(内部)。
A君を中心とする一つの「秩序」が出来上がります。
A君と口をきいたこともないよそのクラスの人はその秩序には全くかかわらない(外部)。
そうすると、A君と同じクラスでありながら、A君とかかわりたくない人たちは微妙な立場に立たせられますね。
A君の創り出した「秩序」に従うのか、従わないのか。「内なる部外者」として「周縁(周辺)」「境界」に身を置いた人たちはA君を中心とする秩序の「内部」でもあり、「外部」でもあるという「両義性」をいやでももってしまいます。
そのように「どっちつかず」の両義性をもった人たちが「禁忌(きんき=タブー)」として排除の対象となる、いわゆる「いじめ」の問題はこのような場所で起こっているのかもしれませんね。