大学入試直前講座 『現代文のツボ』 其の十四

「早稲田大学 評論用語の基礎知識⑦」 〈二項対立の対立項〉

早稲田大学の国語、評論でよく出てくるロジックが「不可分」です。

「西欧/日本」を対立させて(二つの項目が対立するので、このようなロジックを「二項対立」といいます)「西欧すばらしい」、「日本ダメじゃん」、「だから日本はこうしろ!」といった二項対立の比較文化論を早稲田大学は出しません。出すだけムダだからです。
百歩ゆずって出るとしたら、二項対立を色分けするキーワードも「内/外」「表/裏」「ホンネ/タテマエ」の二項対立になっているものではないでしょうか?
「西欧における内/外」⇔「日本における内/外」と展開すれば、少しは複雑になってきます。でも、出さないでしょうね。

そこで、二項対立に対立してゆく「不可分」のロジックをおさえておきたいものです。
二項対立図式への批判として、よく結論に用いられます。

十円玉がありますね。ポーンとほうっててのひらにぺたっ、ハイ、「裏か表か?」誰もがやったことがあるでしょう。これは「表/裏」の単純な二項対立です。
でも、十円玉全体をとらえようとした時、「表こそが十円玉だ!」「いや、裏こそが…」とケンカしてもしょうがない、十円玉は「表」と「裏」があってはじめて十円玉として存在しているのです。
十円玉を成り立たせる条件として「表と裏は切り分けることができない、密接な関係」にあります。それが「不可分」ということです。

不可分…密接につながっていて、分けることができないこと。

「一般的には二項対立で考えられている。しかし、ほんとうにそうであろうか。~論証~。両者は不可分の関係である」といった展開をみせます。
これから国立大学の後期、小論文で勝負をかけようとしている人、けっこう使いやすいロジックですよ。
ほとんどの受験生が二項対立で小論文を書いてくるでしょう?そのマスから一歩抜け出ることができますよ。