大学入試直前講座 『現代文のツボ』 其の六

「早稲田大学のひっかけパターン⑥」 〈限定的表現〉

前回、評論とは普遍(広くあてはまる)妥当性をさぐる作業であると述べました。
である以上、いたずらに限定することをきらいます。
選択肢中に「~のみ」「~だけ」「~ばかり」といった限定的な表現があったら疑ってかかるべきです。

限定的表現はウソくさい!

・「~のみ」「~だけ」「~ばかり」

厳密にたどってみましょう。
本文は「AはBである」といっているだけ、設問は「本文の内容として正しいものを選びなさい」、選択肢が「AのみがBである」とあったら×というもの。
一見、どっちだっていいだろうと思われるかもしれませんが、本文は「A以外についてはBであるかどうかはわからない」ということを意味しますが、選択肢は「A以外はすべてBではない」ということを意味してしまいます。
前者と後者とでは「B」であるものの範囲がちがってしまうのです。

ただし、社会科学、自然科学系の論文では、定義の曖昧さをきらうため、本文中でビスッと限定して定義してくる場合もあるので、一概には言えません。

「自由とは社会的契約を遵守(じゅんしゅ=しっかり守る)する者のみに許された普遍的特権である」

なんてのは、アリですし、また、いかにも早稲田大学が好みそうな硬質なネタですね。
であるならば、逆に言い換えを求める選択肢で

「社会的契約に抵触(ていしょく=違反する)しなければ、自由は認められる」

というユルイ△選択肢があったりして…。前者は「自由は積極的に獲得する」ものであるのに対し、後者は「自由は消極的に与えられる」ものであることを意味してしまいます。
設問の指示が、「本文の内容としてもっともふさわしいものを選びなさい」、他に「ふさわしい」選択肢があるから、△だけれど×、なんて具合でしょうか?どうです?
いかにも早稲田大学(法学部とか)がやりそうでしょ。

いずれ、本文、設問、選択肢の中に限定的表現があったならば、要注意!
早稲田大学の現代文はあやまたずそこをうがってきます。
自分なりに限定マークを決めておいて、逐一、チェックしておくというのもテですね。