大学入試直前講座 『小論文のツボ』 其の九

「国立大学後期小論文 立論のポイント④」 〈逆接〉

「自分の意見はBだ。Bだ。やはりBだ。」

と、自分の意見を伝えたい気持ちはわかりますが、ただひたすら自分の考えだけを羅列(られつ)すると、どうしても独断的な意見になってしまいます。
「ボクがBっていったらBなんだ~い」と、だだっ子みたいな論述になってしまいますね。「他の考えだってあるだろう」と、当然、ツッコミを入れたくなります。

「他人(課題文・世間一般)の意見はAだ。しかし、自分の意見はBだ。」

とすれば、独断的な意見にならず、より客観的な妥当性をもった意見論述になります。

また、英語でもそうでしょうが、逆接というのは、その後の内容を強調する表現でもあります。ただ自分の意見を並べる(黒、黒、黒)よりも、対照性(黒/白のようなコントラスト)をつけることで、いっそう自分の意見が強調されます。

このように、逆接を的確に用いることで、客観的妥当性(普遍性)をもった意見を強調して論じることができます。
「論文は論証で勝負」と述べてきました。その「論証」部の核心となります。

さて、下記のような展開では、A、B、どちらの意見が強調されるでしょうか?

「ショボい意見←〈逆接〉→( A )」

「的確な意見←〈逆接〉→( B )」

答えは当然、Bです。
小学生相手に本気でケンカしたら、「大人気ない」って言われますよね。
たたき台とするなら的を射た意見に対して逆接した方が、その後の自分の意見も強調されます。

とはいいながら、専門家がきちんと論証した意見をくつがえすのは容易ではないので、あくまで自分が反論できる、等身大の意見をたたき台とするべきでしょう。

「いかにもそのとおり」という意見を展開、「しかし」と逆接して自分の意見を展開できれば、強烈なカウンター攻撃となりますよ。


逆接=客観的妥当性(普遍性)の獲得・自論の強調